WWDJAPAN連載「メルローズと私」

BACKSTAGE Vol.2

メルローズの50周年を記念し、
ゆかりある業界の方々にエピソードを伺う「WWDJAPAN」インタビュー連載「メルローズと私」
こちらでは「WWDJAPAN BACKSTAGE」として、本編取材後のアフタートークをお届け。

今回は、ファッションエディターでありスタイリストでもある大草直子氏と、
サードマガジン(以下サード)のディレクター中山彩子。
公私ともに長きにわたるお付き合いがあり、お互いを尊敬しあう2人。
思い出話から今季気になる大人ならではの着こなしまで。話はつきません。

大草直子(おおくさ・なおこ)
ファッションエディター/スタイリスト
ファッション誌やカタログを中心に、エディトリアルやスタイリングをこなすかたわら、イベント出演や執筆業にも精力的に取り組む。WEBメディア『AMARC(アマーク)』主宰。
中山彩子(なかやま・さいこ)
サードマガジン クリエイティブディレクター
様々なファッションブランドのPR、バイヤーを経て、2018年ショールーミング型セレクトショップ「THIRD MAGAZINE(サードマガジン)」を立ち上げる。6歳の娘の母という一面も。

熱い想いを胸にスタートした、
ショールーミング型セレクトショップ

中山:本編で、「ゆかりのある人」を挙げてと言われたとき、真っ先に浮かんだのが大草さんでした。前職のときから、さまざまなお仕事をご一緒させてもらって、大きな決断をする前には駆け込み寺のように相談をさせて頂いていたし。サードを立ち上げるときも真っ先に話にいきましたよね。

大草:そのときの、彩子の熱い眼差し、よく覚えているよ。私は預言者ではないから、成功するかどうかまでは分からなかったけれど、これだけしっかりとしたコンセプトと想いがあれば、絶対に形になるだろうと確信していたよ。

中山:そう、大草さんに背中を押していただき、今があります。感慨深いなあ。

大草:彩子は、昔も今も、「新しいこと」に挑戦する姿勢を貫いているよね。日本ではまだ珍しかったショールーミングという業態にトライしてみようと思うことにも現れているし、インポートのリサーチ力やそれをセレクトする感性も磨き続けているよね。

中山:ありがとうございます! ただミーハーなだけというところもあるけど(笑)いつもアンテナはるようにはしています!

「新しい自分」に出合える2024SSコレクション

大草:そんなサードの今季のイメージはどんな感じなの?

中山:今季は、本格的にファッションを楽しみたいという気持ち、ファッションへの期待感を感じたので、カラーやデザイン、そして素材に、その「ワクワク感」を投影しました。

大草:サードは、スタート当初、大人のための“ラグジュアリーストリート”を打ち出したという点で新鮮だったけれど、今季は、それがいい意味で「若く」なった印象。若いというのは、着る人の年齢ではなく、感度とか感性。大人が着たときに、今までの凝り固まった価値観から解き放ってくれるイメージ。今回は特に丈感やシルエットが印象的だね。カラーもフレッシュで「新しい自分」を発見できそう。

中山:「新しい自分」は、まさに狙っているところです。手持ちのワードローブとも合うけれど、1点投入すると、少し新鮮に今年っぽくみえるように。「こんな自分もいるんだ!」という気づきがあって、おしゃれをすることがまた楽しくなる、そんな提案ができるブランドでありたいと思っています。

大草:素敵だね。今季のコレクションは、もともとサードが好きで通っている方も、初めて手に取る方も、ワクワクさせてくれると思うよ。

今回、そんなサードの最新コレクションから大草さんご自身が気になるアイテムを3点選んでいただきました。様々な洋服を見てこられた大草さんの“私的”気になるアイテムとは!?ご自身の着こなし方を含めお話を伺いました。

NAOKO’ SELECTED ITEM 01ツィードショートジャケット&スカート

ツィードショートジャケット&スカート ツィードショートジャケット&スカート
  • Jacket ¥66,000(THIRD MAGAZINE)BUY
  • Skirt ¥39,600(THIRD MAGAZINE)BUY

大草:まずは、このセットアップ。サードは、もともとジャケットがすごく上手。ジャケットをカーディガンのような気持ちで着ることを提案してくれたブランドだと思う。

中山:まさに、その通りで、大人にこそ、もっとジャケットを取り入れて欲しいと思っていて。どうしても堅苦しかったり、疲れてしまうイメージが強いと思うので、アプローチを変えて、ショートスリーブにしたり、丈を変えることで気軽さを出しています。

大草:このジャケットとスカートは、ワンピース感覚で着られるセットアップだよね。それでいて、ジャケットの丈はかなり短く、スカートはかなりのハイウエスト。スリットも前後に深く入っていて、ディテールがかなりモード。トラッドなグレンチェックのスーチングがここまで新しく見えるのは、さすが。

中山:嬉しい!ジャケットはもっとデイリーに、マキシ丈やリゾーティなワンピースと合わせるのもオススメです。“間に合わせ”のカーディガンではなく、肩のラインがシャープなジャケットをプラスしてあげると、グッとスタイリッシュになるから。

大草:私も、このジャケットをデニムと合わせたいな。今も着させてもらっているけれど、ジャケットの裾があがると視線もあがるし、新しいバランスになるよね。うん、新鮮!

NAOKO’ SELECTED ITEM 02リネンカラーパンツ

中山:お次はこのパープルのパンツですね。伊ブランド「サルバトーレ ピッコロ」に別注カラーで作ってもらったもの。イタリアらしい、ドライなリネンが本当にキレイで。実は、メンズコレクションから引いたアイテムで、同素材のシャツ感覚で着られるジャケットもあるんです。

大草:一目でこのパープルの美しさに心奪われました。くすみのないラベンダーカラー。ドロスト仕様も、コードも、すっごくかわいい♡ リゾートでラフに着るのも素敵だけれど、光沢のあるシルクのタンクトップを合わせて、タウン仕様にしてもいいよね。

リネンカラーパンツ
  • Pants ¥37,400(SALVATORE PICCOLO)BUY

NAOKO’ SELECTED ITEM 03タックワイドパンツ

タックワイドパンツ
  • Pants ¥77,000(THIRD MAGAZINE)BUY

大草:最後はコレ! 最初見たときからかなり気になっていたの! コンサバティブなマキシ丈のスカートに見えて、実はパンツ。素材がもつ厚みとハリ感、そして緻密なパターンで完成するこのフォルムが、ものすごくモードでラグジュアリー。(ぐるり鏡で見て)360度どこから見てもキレイだね。

中山:生地はイタリアのインポートなのですが、光沢感も絶妙で。贅沢に用尺をとって、構築的なパンツに仕上げました。レースと合わせてドレスアップしてもいいですし、Tシャツやタンクトップでカジュアルダウンしても。

大草:スニーカーとも、サンダルとも合うから、ストリートからナイトアウトまで、まさにシーンレス。限られたワードローブの中で着回す、旅先でも活躍しそうだし、先に選んだ、グレンチェックの短丈ジャケットとも相性が良さそう! ちょっとこれ着てみます♡

NAOKO’S COORDINATE COMMENT

T-shirt ¥16,500Pants ¥77,000Scarf ¥14,300(すべてTHIRD MAGAZINE)

今すぐしたいのは、カジュアルなカットソーを合わせたこんなコーディネート。トップスはINして、ウエストにはベルト。カットソーのロゴがかわいいので、ネックレスはせず、シルクスカーフをラフに。足元はファーのサンダルで抜けを作り、仕上げにエッジィなバッグを。気のおけない友人と食事に行くときをイメージしたスタイリングです。気張ってはいないけれど、一緒に過ごす時間へのリスペクトを込めて。このふっくら感、やっぱりいいな♡ 真夏は、タンクトップと長いパールのネックレス、足元はビーチサンダル、なんていうコーディネートもいいね。私、このパンツ買います!!(笑)

オリジナリティに溢れた、情報の発信源であって欲しい

左)大草:Jacket ¥66,000Pants ¥29,700(すべてTHIRD MAGAZINE), Tops ¥20,900(GUIDO VERA)
右)中山:Shirt ¥28,600(LMND) , Pants ¥39,600(THIRD MAGAZINE)

大草:改めて振り返ると、彩子とは本当に長い付き合いだけれど、一番初めに、スタイリストである私の名前をたてたコラボレーションアイテムを作ることや、モデルではなく私が着て人前に出るということを提案してくれた人。私の今の仕事に繋がる、さまざまな起点を作ってくれた。アイディアマンで、たくさんの刺激をくれるし、絶対に同じことをやらないという姿勢も好き(笑)。

中山:組ませてもらうときは、大草さんが心から楽しんでくれているかを常に気にかけています。作り手の気持ちは、プロダクトやプロジェクト全体のムードに伝染するし、お客様にも伝わるから。

大草:ありがとう。本当にそうだよね。サードにも、彩子の確固たる信念や愛情、真摯な想いを感じるよ。これから先も、どんな提案や新しい情報を発信してくれるのか、これからのサードマガジンも楽しみにしています。

本編は2月28日(水)発売のWWDJAPAN、WWDJAPANオンラインにてお楽しみいただけます。
今後もWWDJAPANで第4回まで続く、50周年記念のインタビュー連載「メルローズと私」、
そして本サイトでの裏話「WWDJAPAN BACKSTAGE」連載をお楽しみに。

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