| SUSTAINABILITY
「染める」だけじゃない染め替えプロジェクト MELROSE×京都紋付 “染メル”【前編】
京都紋付様の黒染めは、染め替えることにより、着られなくなったお洋服をまた着れるようにするだけでなく、新たな価値を生むことが特徴です。
それは、京都紋付様独自の革新的黒染め技術、“深黒(しんくろ)”という他にはない技術によるもの。
長年愛用した衣類が、新品の時のようなソフトな風合いに蘇り、また撥水効果が加わり、水分汚れに対しての耐久性もプラスされるという、まさに、「染める」だけじゃない付加価値を生む染め替えプロジェクトなのです。
今回は、京都紋付様の工房にお邪魔して、色々とお話を伺ってきました。
お客様からのご依頼品が着荷。
組成、ダメージなどを細かく検品し、内容についてお客様へ確認します。
お客様にご納得いただいてから、染め替えに進みます。
お客様から届いたお洋服を仕分けます。
デリケートな素材は、ネットに入れて染め替えます。
染めるお洋服の総重量に合わせて、長年の経験から独自に開発された黒の染料を計量し、お湯を入れて溶かします。
25kgまで投入可能な大きなドラム式染色機にお洋服を入れ、水を貯めたのち、助剤(アルカリ性の、染まりやすくする薬品)を投入。
一番染まりやすい60度になるまでドラムを回しながら、助剤をなじませます。
助剤がしっかり馴染んだら、いよいよ染料を投入します。
ここから、約3時間かけて染色機を回して染めて行きます。
水洗いですすいだのち、生地に定着しなかった染料を、ソーピング剤を加えて洗い落とします。
すすぎ洗いが終わったら、大きな遠心脱水機に投入して一気に水分を飛ばします。
がっしりと固定された強力な脱水機なので、数分で脱水は完了。
染料に直接触れる染め職人さんの手は黒くなっていますが、染めた後や脱水後のお洋服に触れても手が黒くなることはありません。
職人さんの手も、洗えばすぐに落ちるそう。
これは、天然繊維と化学結合して染まる、環境にも負荷の少ない染料を使用しているから。
乾燥は、乾燥機は使用せず、お洋服は運搬用エレベータに乗って階上の干し場へ。
ダメージがないか、1点ずつ確認しながら、ていねいに干されます。
夏場は1日、冬や梅雨時期は長くて3日間かけて、室内干しされます。
1度目の染色が終わり、天日干しが終わると、深黒加工が施されます。
こちらは京都紋付さん独自の技術で、企業秘密の内容。
1枚ずつ手作業で薬品(深黒加工液)に入れていくそうです。
つけ過ぎてもいけない、でも内側まで薬品を全て行き渡らせなくてはならない、最も大変な工程とのこと。
その後、同様に脱水、天日干しを行います。
この工程によって、染め上がった後のお洋服のしなやかさや撥水効果が生まれるそうです。
仕上がりに問題がないか、1点1点確認します。
オプション依頼のあった、外していたボタンを付け替えたりもします。
お客様のもとへ。
工房では、1日にデニム200本、Tシャツなら500枚の染めが可能。
染替えのための職人さんは、昔と違い経験と勘に頼るのではなく、すべてデータで管理した染色を行っています。
そうすることで安定した高品質を維持できます。
【後編】では、染め替えプロジェクトを立ち上げられた、4代目である荒川徹氏に、黒染めについて、また今後の展望についてお話を伺います。